過去問解説 2020年度(令和2年度)AT理論試験基礎①

AT 理論試験対策 2020AT理論試験

アスレティックトレーナー理論試験の過去問を解説していきます。
公式の解答ではなく、あくまで個人が解説しているものになりますので、正誤を保証するものではありません。ご承知おきください。

問1 オーバートレーニング症候群における交感神経緊張型の特徴として正しいのはどれか。2 つ
選べ。


a.安静時心拍数増加
b.運動後の安静時血圧への回復促進
c.起立性低血圧
d.最大パワーの増大
e.体重増加

正解:a,c

a.正解。

b.運動後の安静時血圧への回復促進ではなく回復遅延が正解。

c.正解。

d.最大パワーの増加ではなく最大パワーの低下が正解。

e.体重増加ではなく体重減少が正解。

オーバートレーニング症候群の分類
1) 交感神経緊張型(バセドウ病型)
競技力低下,体重減少,食欲低下,睡眠障害
安静時心拍数増加
運動後の安静時心拍数への回復遅延
安静時血圧上昇
運動後の安静時血圧への回復遅延
起立性低血圧
神経過敏および情緒不安定の増強
トレーニングおよび競技欲望の喪失、傷害頻度の増加
感染頻度の増加、運動時最大血中乳酸濃度の低下
最大パワーの低下

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第4巻 健康管理とスポーツ医学

問2 膝前十字靭帯損傷について正しいのはどれか

a.損傷しても自然治癒することが多いので、機能障害は残存しない。
b.受傷後には膝関節に腫脹(関節内に血腫が貯留)を呈することが多い。
c.不安定性テストとしては、McMurray test が有用である。
d.損傷によって、sagging 徴候が確認される。
e.再建術の移植腱としては、わが国では人工靭帯のみを用いる場合がほとんどである。

正解:b

a.「自然治癒することが多い」「機能障害は残存しない」が×
 保存療法の場合、機能障害として不安定性が残存することが多い。

b.正解。

c.不安定性テストとしては、McMurray testではなくLachman testが有用なので×。(McMurray testは半月板損傷時に用いられる)

d.sagging兆候は後十字靭帯損傷時に見られる兆候なので×。

e.再建術では人工靱帯ではなく自家腱(骨付膝蓋腱,半腱機筋腱+/− 薄筋腱)を用いられることがほとんどであるため×。

初回受傷直後に現場などで診察すると、腫脹や疼痛を認めないことが多いが、時間と共に、腫脹や接痛が出現してくる。膝関節は腫脹 (通常はACLが断裂するため出血し、関節内に血腫が貯留)し、関節可動域が制限され,疼痛のため歩行できないことが多い。

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第3巻スポーツ外傷・障害の基礎知識

問3 トレーニングプランの作成について誤っているのはどれか。2つ選べ。

a.トレーニングプランには、年間(長期)、月間(中期)、週間・1日(短期)などがある。
b.毎日のトレーニングに強弱をつけたり、休養の仕方を考えることは重要である。
c.トレーニングによるストレス(負荷)からの回復時間は、年齢によって異なる。
d.エキセントリックな収縮による筋ダメージは、コンセントリックな収縮による筋ダメージ
に比べて回復に要する時間は短くなる。
e.トレーニングからの回復過程には個人差がみられ、トレーニングの意識性の原則を重視す
べきことを意味する。

正解:d.e

a.正解。

b.正解。

c.正解。

d.筋ダメージの回復に要する時間は、エキセントリック>コンセントリック であり、エキセントリックな収縮による筋ダメージはコンセントリックな収縮による筋ダメージに比べて回復に要する時間は長くなる。したがって本問は×。

e.トレーニングの回復過程に個人差が見られることは、意識性の原則ではなく個別性の原則に当てはまる。したがって本問は×。

筋収縮の様式のうちで最も大きな収縮力を発揮するのが伸張性収縮であり、次
に等尺性収縮• 短縮性収縮の順となる。

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第6巻予防とコンディショニング

個別性の原則
トレーニングは、年齢 ・性差・体格・体力・技術レベル・経験 ・健康状態・個人の精神的特性などを考慮し、個々の状態に応じたプログラムを作成しなければならない

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第6巻予防とコンディショニング

問4 下腿の筋について正しいのはどれか。2つ選べ。

a.腓腹筋の支配神経は脛骨神経である。
b.ヒラメ筋の支配神経は腓骨神経である。
c.前脛骨筋は足関節を背屈・回外させる。
d.短腓骨筋は足関節を背屈・回内させる。
e.後脛骨筋は足関節を底屈・回内させる。

正解:a.c

a.正解。

b.ヒラメ筋の支配神経は腓骨神経ではなく脛骨神経。

c.正解。

d.短腓骨筋は足関節を底屈・回内させる。

e.後脛骨筋は足関節を底屈・回外させる。

腓腹筋 gastrocnemius(下腿三頭筋の一部)
機能:足関節の底屈
神経支配:脛骨神経,S1・S2
起始:大腿骨顆上部,停止:踵骨隆起

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第2巻 運動器の解剖と機能

前脛骨筋 tibialisanterior
機能:背屈と内がえし
神経支配:深腓骨神経,L4・L5
起始:下腿外側前方,停止:中足部内側

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第2巻 運動器の解剖と機能

外返しは背屈、回内,外転の複合運動、内返しは底屈,回外,内転の複合運動である。

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第2巻 運動器の解剖と機能

問5 運動負荷試験の目的として誤っているのはどれか

a.胸痛の診断
b.閉塞性肥大型心筋症の診断
c.心疾患の治療効果や予後判定
d.心疾患のリハビリテーションメニュー作成
e.健康維持・増進のための運動処方作成

正解:b

a.正しい。

b.運動負荷試験で閉塞性肥大型心筋症の診断はできない。したがって×。

c.正しい。

d.正しい。

e.正しい。

運動負荷試験の目的
①胸痛の診断
②心疾患の治療効果の判定
③心疾患の予後判定
④心疾患リハビリテーションのメニュー作成のため
⑤健康維持 ・増進のための運動処方作成のため

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第4巻 健康管理とスポーツ医学

問6 サプリメントが必要となる状況として誤っているのはどれか。

a.階級性競技で、厳しいウエイトコントロールを行っており、摂食制限があるとき。
b.夏期や疲労により過度の食欲不振に陥っているとき。
c.海外遠征や合宿等で多品目の食料品の入手が困難な場所で長期滞在しなくてはならないと
き。
d.試合スケジュールが密集しており、3回の食事や間食を十分にとる時間がないとき。
e.指導者やスタッフが、使用を勧めたとき。

正解:e

a.正しい。

b.正しい。

c.正しい。

d.正しい。

e.本問のような記載はない。したがって×。

アスリートにとってサプリメントが必要となる状況としては次の4 つが考えられる.
  (中略)

  1. 階級性競技で、厳しいウエイトコントロールを行っており、摂食制限があるとき
  2. 夏期や疲労により過度の食欲不振に陥っているとき。
  3. 特殊な環境下(例えば海外遠征や合宿等で多品目の食料品の入手が困難な場所)で長期滞在しなくてはならないとき。
  4. 試合スケジュールが密集しており、3回の食事や間食を十分にとる時間がないとき
公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第9巻 スポーツと栄養

問7 姿勢の安定性や重心について正しいのはどれか。2つ選べ

a.両足立ちより片足立ちのほうが基底面は狭く、安定しにくい。
b.同じ基底面でも重心が低ければ、安定しやすい。
c.同じ基底面、同じ重心高では、軽いものほど倒れにくい。
d.密度が一様な平板なら、糸で吊り下げて重心を調べることができない。
e.片手倒立の姿勢を保持する場合、重心は基底面の上にない。

正解:a.b

a.正しい。

b.正しい。

c.同じ基底面、同じ重心高であれば、重いものほど倒れにくい。したがって本問は×。

d.密度が一様な平板であれば、糸で吊り下げて重心位置を調べることができる。したがって本問は×。

e.片手倒立の姿勢の保持をする場合、支持基底面上に重心がある。したがって×。

問8 橈骨の部位を示す用語として正しいのはどれか。2つ選べ。

a.橈骨切痕
b.橈骨窩
c.尺骨切痕
d.鉤突窩
e.月状骨窩

正解:c,e

a.橈骨切痕は尺骨

b.橈骨窩は上腕骨

c.正しい。

d.鉤骨窩は上腕骨

e.正しい。

問9 血液感染症について正しいのはどれか

a.A 型肝炎ウイルスは血液を介して感染する。
b.B 型肝炎ウイルスの感染力は、C 型肝炎ウイルスよりも弱い。
c.スポーツによる接触で C 型肝炎ウイルスに感染する可能性は高い。
d.C 型肝炎ウイルスに有効なワクチンはない。
e.HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染力は肝炎ウイルスと比べて非常に強い。

正解:d

a.A型肝炎ウイルスは血液感染ではなく経口感染。したがって×。

b.C型肝炎ウイルスの感染力はB型肝炎ウイルスの1/ 10以下であり、B型肝炎ウイルスの方がC型肝炎ウイルスより感染力は強い。したがって×。

c.C型肝炎ウイルスのスポーツの接触での感染は極めて低い。したがって×。

d.正しい。A型肝炎ワクチンとB型肝炎ワクチンはあるが、C型肝炎ウイルスに有効なワクチンはない。

e.HIVウイルスの感染率はB型肝炎ウイルスの1/100程度、C型肝炎ウイルスの1/10程度といわれ、感染力は非常に弱い。したがって×。

肝炎ウイルスに対する有効なワクチンとしてA型肝炎ワクチンとB型肝炎ワクチンがある が,C型肝炎ウイルスに有効なワクチンはない。

公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第4巻 健康管理とスポーツ医学

問10 膝関節の外傷・障害について誤っているのはどれか

a.pivot shift テストは前十字靭帯損傷を評価する検査法である。
b.ダイヤルテストは後外側回旋不安定性を評価する検査法である。
c.ダイヤルテストは膝屈曲位にて下腿の内旋角度を評価する。
d.内側側副靭帯Ⅲ度損傷では膝伸展位における外反ストレステストで不安定性がみられる。
e.McMurray テストでは内側半月板の検査の際に膝関節を内反させる。

正解:c

a.正しい。

pivot shift test : ACL損傷時の不安定性テスト

下腿を内旋、膝関節完全伸展位とし、内旋位を維持したまま徐々に屈曲させる。ACL断裂がある場合、膝関節軽度屈曲位で脛骨が前外方へ亜脱臼、またはその整復を感知することができる。

スポーツ外傷・障害の理学診断 理学療法ガイドより内容抜粋

b.正しい。

ダイヤルテスト:後外側支持機構(PLS)損傷の不安定性テスト

伏臥位で膝関節を30°および90°にし、両足の足部を外旋させた時に、損傷側の方がより大きな回旋が見られた場合、陽性とする。

スポーツ外傷・障害の理学診断 理学療法ガイドより内容抜粋

c.ダイヤルテストでは下腿の外旋角度を評価する。したがって×。

d.正しい。

MCL損傷の重症度分類

Ⅰ度:伸展・30°屈曲位の外反不安定性はないが、圧痛がある
Ⅱ度:伸展位では外反不安定性を認めないが、30°屈曲位では外反不安定性があるもの
Ⅲ度:伸展位・30°屈曲位ともに外反不安定性があるもの

スポーツ外傷・障害の理学診断 理学療法ガイドより内容抜粋

e.正しい。

McMurreyテスト:半月板損傷時のテスト

内側半月板→膝関節を最大屈曲から内反しながら徐々に伸展
外側半月板→膝関節を最大屈曲から外反しながら徐々に伸展

スポーツ外傷・障害の理学診断 理学療法ガイドより内容抜粋

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